DSAセミナー

DSAセミナー 「新世代が描く新感覚の空間デザインとは?」

日時:2015年3月4日14:30~17:00
会場:東京ビッグサイト 会議棟6階

2014年度の大賞受賞者萬代基介氏と優秀賞受賞者岩崎裕次郎氏を招き、受賞作品を中心に空間デザインの考えや、そのアイデアの抽出方法まで「新感覚の空間デザインとは?」をテーマに講演いただきました。

建築から家具、インスタレーションまで幅広く手掛ける萬代氏は、大賞受賞作「食のかたがみ展 だし」を紹介。動画を用いながら「目に見えないものをデザイン」するプロセスから、空間が発揮するチカラ、人の動きで生まれる空気の流れで“だし”や素材が薫るといった繊細な展示の仕掛けをわかりやすく解説されました。また、敷地となる東京のマチはマッシブな構造体を縦に伸ばしてゆくことで限りなく“高密度化”しているのに対し、今回の展示では限りなく重量の無い水平の線をひいて空間をつくるという発想からデザインをされました。自立するギリギリの強度を狙ったテーブルの脚や天板の固定の方法、隣り合うモノとの関係性を意識した配置構成等、建築家ならではの思考と、繊細な感覚が結合して空間化された事がよく理解できる内容でした。

博物館などの文化空間を手がける岩崎氏は、今回受賞した「新潟マンガ・アニメ情報館」を創り上げたプロセスや方法を解説。「展示設計とは?」から始まり、マンガ・アニメを活用した街づくりを実現するために、マンガ表現の世界や作者の思考の世界を表現したこと、そのために体験展示を行ったことなどを丁寧に語られた。何よりも岩崎氏自身が考える「楽しみながら空間づくりに取り組むことで、楽しい気持ちになれる場所になるはず」といった信条が伝わってくる内容でした。
萬代氏は繊細な素材や構造の強度に着目した建築的な引き算の発想、岩崎氏はココロを動かすための足し算の発想であり、相反する世界観を非常に興味深く展開されました。

パネルディスカッションでは若手デザイナー代表として千葉香菜子氏、福地航大氏、吉田敬介氏の3氏と、進行役として協会の柘植喜治理事に登壇いただきました。
作品のディテールに関するものからアイデアの発想方法、これからの空間デザインについてなど様々な質問に丁寧に答えられ会場全体で盛り上がるディスカッションの場となりました。2人の若いクリエーターの貴重な話を伺うことで、セミナーに参加した学生や若手デザイナーも大いに刺激を受けたセミナーでした。

seminor_150520

講師プロフィール

萬代 基介 氏

建築家

1980年 神奈川県生まれ
2003年 東京大学工学部建築学科卒業
2005年 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修了
2005-2011年 石上純也建築設計事務所勤務
2012年 萬代基介建築設計事務所設立
2012年 横浜国立大学大学院Y-GSA設計助手

岩崎裕次郎 氏

株式会社丹青社 文化空間事業部デザイン統括部勤務  デザイナー

11985年 栃木県出身。多摩美術大学環境デザイン学科卒。
2009年(株)丹青社入社。
博物館やこども施設を中心に文化空間のデザインに携わる。
主な実績として、静岡市こどもクリエイティブタウン「ま・あ・る」、
筑波宇宙センター展示館、登呂博物館、府中市郷土の森博物館など。
今年度は新潟市 マンガ・アニメ情報館にて
日本空間デザイン賞2014優秀賞と第48回SDA賞奨励賞を受賞。