DSAセミナー

DSA セミナー2016「次世代のクリエイターたち ─ 空間の多彩な表現 『作る事』と『作らない事』」

日時:2016年3月9日(水)PM14:30 ~ PM16:45
会場:東京ビッグサイト 会議棟6F 610 会議室 JAPAN SHOP 2016

空間デザイン賞2015 優秀賞を受賞された博展の南正一郎氏と井上尚志氏、同じく優秀賞を受賞されたニットの生田直人氏とタスエスの松下慎太郎氏によるセミナーをJAPAN SHOP 2016において開催しました。

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スポーツブランド ナイキの受賞3作品をデザインされた南氏と井上氏は「1→10」「体験価値のデザイン」「0→1」という3つの視点で受賞作をプレゼンテーション。ナイキというブランドが掲げたキークリエイティブ(お題)を解釈し、商品の魅力をどう最大限化するかといったことを1→10に例えて解説していただきながら、制作スタッフとの苦労話の部分では普段見ることの出来ない“デザイン制作の裏側”を垣間見ることができました。また体験価値のデザインでは、自分自身がワクワクしたり、思わず人に話したくなるような「こうだったらおもしろい!」という個人の感情を大切にされている部分、さらに0→1をつくるというチャレンジの体験談ではうまくいかなかった赤裸々な一面も語って頂き、同期であるという南氏と井上氏お二人の“クリエイターの素顔”が身近に感じられる講演でした。

Billboardをデザインされたニットの生田氏とタスエスの松下氏は、2年という長い計画スパンの中で恒久的な“建築のブレないコンセプトを如何につくるか”という視点で建築・インテリア両方のデザインについて詳細なプレゼンテーションをしていただきました。敷地周辺状況からの着想や、気候・風土などから導かれる機能性、クライアントの印刷業から色のコンセプトを決定するなど、作品が醸し出す大胆なインパクトとは裏腹に、お二人の緻密で建築的な発想やデザインプロセスが印象的でした。終始柔らかな雰囲気で進んだプレゼンテーションの終盤ではドローンで撮影された現場の映像が会場を沸かせ、エッジなデザインの中に人を惹きつけるユーモアが滲み出る、年鑑の写真だけでは決して伝わらない“クリエイターの側面や魅力”をダイレクトに肌で感じることができました。

今回のセミナーでは受賞者からの一方的な説明にとどまらず、ムラヤマの佐藤史能氏をキュレーターに迎え「若い、クリエイター志望の来場者目線」で疑問や率直な意見をぶつけながら語っていただくといった演出も試み、後半のトークセッションでは二次審査員でもある千葉大学の柘植喜治氏の視点を加えながら、満員の会場は熱い視線と若い意見が飛び交う、いつも以上に熱気に包まれたセミナーとなりました。