両さんを追いかけろ!亀有の街ごと楽しむ【こち亀記念館】

両さんのアイディア大爆発!?両さんが実際につくったこち亀記念館

上杉 信介乃村工藝社

両さんを追いかけろ!亀有の街ごと楽しむ【こち亀記念館】

応募作品を空間デザイン的視点で語りつくしてください

このプロジェクトが始まり、初めて亀有の街を訪れたときのことを今でも鮮明に覚えています。下町文化が息づく街並みの心地よさと亀有の街の人々の温かさに魅了される一方で、他の街と同じように徐々にこのコミュニティも失われてしまうのかもしれない、守りたいという強い思いが芽生えました。そんなことを感じながら街を歩いていると、『こち亀』で見たことのある景色や場所に出会い、「両さんは本当にこの街にいるのかもしれない」と感じた瞬間がありました。それが、このプロジェクトのコンセプトをひらめいたきっかけです。そこからは、チーム全員で「両さんならどうする?」を合言葉に、単なる箱物のミュージアムではなく、亀有全体を盛り上げ、持続可能なコミュニティを育む施設づくりを目指しました。両さんが選びそうな色や形、体験、街に滲みだす仕掛け、亀有への想いをチーム全体で夢想しながらつくり上げる過程は、まるで漫画の世界をつくり上げるような体験でした。その様子をSNSでも展開し、両さんの実存感を生み出しながらプロジェクトを進めました。その甲斐もあり、「両さんがつくった」という施設コンセプトの共感を生み、両さんならではの破天荒さや無邪気さを空間いっぱいに表現できました。最後、『こち亀』のオチのように、こち亀記念館が爆発しなくてよかったです。

打ち合わせに参加する両さん ©︎秋本治・アトリエびーだま/集英社
打ち合わせに参加する両さん ©︎秋本治・アトリエびーだま/集英社
現場で自ら工事する両さん ©︎秋本治・アトリエびーだま/集英社
現場で自ら工事する両さん ©︎秋本治・アトリエびーだま/集英社
秋本先生と現場確認する両さん ©︎秋本治・アトリエびーだま/集英社
秋本先生と現場確認する両さん ©︎秋本治・アトリエびーだま/集英社


こち亀記念館 Webサイト
https://kochikame-kinenkan-official.jp/

こち亀記念館 Instagram
https://kochikame-kinenkan-official.jp/

こち亀記念館 X
https://x.com/kochikamemuseum



乃村工藝社 CIC [Content Integration Center]
https://www.cic.nomurakougei.co.jp/

Question01

受賞作品の最後のピース(ジグソーパズルを仕上げるに例えて)はどこでしたか?

こち亀記念館の開館イベントです。
当日は快晴で作家の秋本先生や『こち亀』好きの芸能人の方々、そして多くの亀有の人々が足を運んでくださり、歩行者天国にしたこち亀記念館前の道路が人でいっぱいでした。ここから、こち亀記念館だけでなく、亀有の街全体が盛り上がっていく兆しを感じました。

Question02

空間デザインの仕事の中で、一番好きなコト、ワクワクするコトは?

空間を訪れた人の反応を見るときです。
空間はどんな機能であっても、つくった人ではなく、そこを使う人のためでなければないと思っています。訪れた人が何をして、どう感じてほしいのかを想像しながらデザインしてきたことが報われるのが、実際にその空間を人が使う瞬間です。反応の中には、ポジティブなものもネガティブなものもありますが、どちらもデザイナーにとって大切な財産だと思っています。

Question03

空間デザインの仕事の中で、一番苦労するコトは?

オリジナリティをいかに生み出すかです。
オリジナルなものを目指してデザインすることは当たり前ですが、それだけだと共感・理解しにくいものになってしまいます。クライアントや利用者に共感・理解してもらえる言語=デザインを提案しつつも、如何にそこから逸脱していくのかが楽しくもあり、難しいところだなと感じます。

Question04

クライアントとのやり取りで印象的に残っている言葉や出来事はありますか?

こち亀記念館ができた際に、作家の秋本先生から、「皆さんが両さんを宿してくれたから『こち亀』らしい面白い施設ができました。」と言ってくださった際は本当に嬉しかったですし、今までの過程が間違ってなかったなと確信と勇気を持てました。

Question05

空間デザインで社会に伝えたいコトは?

世界には常に別の可能性があるということです。空間は、人の振る舞いやその場所の記憶などが結び付けられた複雑な合意形成の場です。多様にある選択肢の中で、誰もが予期しない名前もついてないようなものに触れた時に、歓びや感動を生むものだと信じています。そういったオルタナティブな未来を提示している空間に惹かれますし、純粋にかっこいいなと思います。そういった空間との出会いを、誰もが参加できる体験として提示し、一緒にいい未来をカタチ作っていければと思います。

Question06

空間デザインの多様性について一言

体験した人がそれぞれ異なる感想を持つような空間が多様だなと思います。人間自体が多様である中で、体験の感想が一律なのに違和感を覚えます。

Question07

空間デザイナーを目指す人々へのメッセージ

空間デザイン、おもしろいです。これは大学時代の師匠の受け売りですが、インプットとアウトプットを筋トレのように続けるといいと思います。

PROFILE

上杉 信介

上杉 信介

乃村工藝社

乃村工藝社 CIC
1994年兵庫県生まれ
2019 千葉大学大学院融合理工学府都市環境システムコース 修了。乃村工藝社入社

受賞歴
2023年
■SCRAPTURE
日本空間デザイン賞ショートリスト/サスティナブル賞
日本サインデザイン賞金賞/審査員特別賞
SKY DESIGN AWARD ゴールド

2024年
■DESIGNART TOKYO2023 SCRAPTURE
日本サインデザイン賞入選
SKY DESIGN AWARD シルバー
ディスプレイ産業賞 奨励賞
■Jeddah Events Calendar 2023 -Anime Village at City Walk
日本空間デザイン賞 銀賞
ディスプレイ産業賞 入賞
IF DESIGN AWARD 2024 入賞
JACEイベントアワード シルバー
SKY DESIGN AWARD ショートリスト

2025年
■こち亀記念館
日本空間デザイン賞 銅賞/ヤングタレント賞
日本サインデザイン賞 入選
ディスプレイ産業賞 優秀賞
Thea Award 2026 Outstanding Achievement ミュージアム部門
IF DESIGN AWARD 2025 入賞