YAMAHA MOTOR Regenerative Lab
廃棄物をアップサイクルして創り上げた「リジェネラティブ」を考える共創スペース
田口 裕都船場
応募作品を空間デザイン的視点で語りつくしてください
プロジェクト始動時、ヤマハ発動機が運営されている静岡県森町のミリオンペタルに視察へ行った。どの物件もまずクライアントの想いをヒアリングするところから始まるが、「一緒にマウンテンバイクに乗りましょう」と言われたことは初めてだった。放置されていた森を整備した、山の起伏や高低差を活かしたコースを走ることに最初は恐怖心もあったが、いつのまにか自分と一体となったように動くマウンテンバイクに身を任せ、山を駆け抜けていた。
ヤマハ発動機が販売する製品は嗜好品が多いと認識している。ただマウンテンバイクで山を駆ける疾走感、船で海を渡る爽快感など、日常生活では感じられない、自然との「遊び」を教えてくれる。そんな楽しみを生み出す一方、製造過程では廃棄物や端材が発生し、使われた後の廃棄の問題もあった。
そこに目を背けず、未来のために向き合われているヤマハ発動機の姿、想いに相当の覚悟を感じた。そして空間デザインでその想いに応えるべく、がむしゃらに取り組んだ。細部までストーリーが宿るようアウトプットをしては客観視する、緻密な作業を繰り返した。前例のないことばかりだったが、本施設は結果的にどこを切り取ってもストーリーのある空間となり、未来への問いを投げかけるきっかけになる空間になったと自負している。
(撮影者:田口裕都)
Question01
受賞作品の最後のピース(ジグソーパズルを仕上げるに例えて)はどこでしたか?
競技用プールを活かしたアートワーク什器とその中に展示されているFRP由来の廃棄物たち。エントランスからすぐ目に飛び込んでくる位置にあり、宝石のように展示されているFRP由来の廃棄物たちは、最後に納品された空間の主役となる什器。
Question02
空間デザインの仕事の中で、一番好きなコト、ワクワクするコトは?
機能、デザイン、背景ストーリー、それぞれがぴったりとはまること。
このデザインじゃないと成立しない納得感をクライアントとともにわかちあえる時。
Question03
空間デザインの仕事の中で、一番苦労するコトは?
ぴったりと上記の3つの要素が落とし込めるまでの過程。一番苦しいところでもあり、一番こだわる力が試されるときなので、自分をある程度追い込む必要がある。
Question04
クライアントとのやり取りで印象的に残っている言葉や出来事はありますか?
森町でのマウンテンバイク乗車体験。山を一緒に駆け抜けた爽快感は忘れられません。
Question05
空間デザインで社会に伝えたいコトは?
空間は人との距離が近かったり、過ごす時間が長かったり、生活していく上で切っても切り離せないものだと考えている。その空間デザインを少し変えるだけでも気持ちが豊かになったり、また来たいと思ったり、もっと過ごしていたいと思ったり、空間デザインは人の心や感性に訴えかける可能性を秘めている。
Question06
空間デザインの多様性について一言
空間デザインに限らず、昨今多様性は重視されている。第三者からの評価はもちろん大切で、評価いただくことに越したことはないが、クライアントと何度も対話を重ねて想いを込めたデザインは唯一無二で、どんな奇抜性のあるデザインも、空間デザインの可能性を拡げていく重要な役割を担うと思う。
Question07
空間デザイナーを目指す人々へのメッセージ
斬新なアイデアやデザインが求められることもありつつ、一方で地道で着実な積み重ねも重要になると思う。立ち止まりそうになる時もあるが、自分はこのプロジェクトで何を表現しようと思ったのか、伝えようと思ったのか、クライアントのどんな思いを叶えたいのかを思い出して、また前に進むようにしている
PROFILE

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田口 裕都
船場
株式会社船場 EAST事業本部 Design Direction Division
1997年 京都府生まれ
2020年 岡山県立大学デザイン工学科建築都市デザイン領域 卒業
2020年 株式会社船場 入社
主な受賞歴
日本空間デザイン賞2024 サステナブル空間賞
第37回日経ニューオフィス賞 九州・沖縄ニューオフィス奨励賞
第44回ディスプレイ産業賞 ディスプレイ産業奨励賞
日本空間デザイン賞2025 ヤングタレント賞
日本空間デザイン賞2025 金賞





































